フェレンギ人( - じん、Ferengi)はSFテレビドラマ『スタートレック』シリーズに登場する架空の ヒューマノイド型異星人。
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背は低く(平均身長1.5m)皮膚は黄褐色で、耳は大きい。非常に聴力が発達しており、鋼鉄製の壁の向こうの会話も聞き分けられるほどである。耳は性感帯でもある。歯は先の尖った乱杭歯である。脳はヒューマノイドとしては特殊な構造(頭葉が4つある)をしており、ベタゾイドに思考を読まれることがない。免疫力が強いらしく人間やその他の種族が感染するウィルスにも感染せず、また小柄な割には肉体的にも非常にタフであり、艦隊の格闘技大会で優勝の実績もあり屈強な体格のライカー中佐をもってして「フェレンギ人は鋼鉄のアゴをしている…」と言わしめるほどである。ただし耳は非常にデリケートで、種族特有の感染症などにかかりやすい。女性は男性より耳が小さい。
出身地であるフェレンギ星は絶えず雨の降る温暖多湿(というより、ジメジメとした)な惑星であるが、そのためか体毛は無く、頭皮は滑らかである。顔は凹凸に富み、目の上には眉の代わりに太い畝があり、鼻は団子っ鼻で大きな鼻腔であるが、これらも降雨で目に雨が飛び込み視界が遮られたり、息を吸った時に鼻の穴から雨水を吸い込んだりしないための変化かもしれない。
特徴
嘘をつくこと・他人を騙すことに抵抗が無く、金儲けが全てに優先され、死ぬことよりも金儲けに失敗することに恐怖心を抱くほどである。その点は、名誉と力を重んじるクリンゴン人とは別ベクトルで地球人の感覚とは相容れない。スタートレック世界では異種族間の交流も盛んであり、多くの文明社会では貨幣経済が廃れ、実質的な物々交換(互いに相手の欲しがる物資・情報を交換する)以外には成立しようが無いため、彼らのような金銭的利益優先主義は特異な社会様式である。
『金儲けの秘訣』を聖典のように扱うなど、作品中ではひたすら拝金主義が強調されているが、超フェイズシールドの開発(開発者は殺害されたが、後にU.S.S.エンタープライズDで実用化される)に代表されるように科学力、技術力はかなり高い水準にあり、軍も存在し奇襲作戦なども得意とする。フェレンギの宇宙船デコラ級マローダーは宇宙艦隊のギャラクシー級宇宙艦に匹敵するほどの火力を有し、積載能力が高い。非実弾系の搭載武器は、「スタートレック:エンサイクロペディア」によると、『プラズマスチーム(輸入品のガレージキットでは「ディスラプションスチーム」)』と表記されており、連邦艦やクリンゴン艦と異なりフェイザーやディスラプターではないようである。「プラズマ」や「ディスラプション(分解、分裂)」、「スチーム(蒸気)」と言った単語から、その武器の技術は光線や粒子ビームではなく、たとえば核分裂や核融合などによりプラズマ化した超高温の気体なのかもしれない。 なお、個人戦闘ではプラズマを発射できる鞭を愛用する。 なお軍の階級や指揮権も金で買われる。
彼らの勢力圏はフェレンギ同盟と呼ばれているが、その外でも多くのフェレンギ人が広範囲に渡り貿易や利益を求めて活動している。フェレンギ人は全てフェレンギ同盟に所属することになっている。フェレンギ同盟の指導者(というより経営者)であるグランド・ネーガスはすべてのフェレンギ人の商取引を管理し、『金儲けの秘訣』を改訂する権限さえ持っている。 『金儲けの秘訣』第18条では「金儲けの出来ないフェレンギ人はフェレンギ人ではない」と定義されており、儲けの少ない、また『金儲けの秘訣』から逸脱したフェレンギ人はフェレンギ会計監査局 (FCA) の監査を受け、場合によっては財産の没収やフェレンギ同盟からの追放が行われる。それはグランド・ネーガスも例外ではない。そのためフェレンギ社会では非常に恐れられている。
フェレンギにとって、惑星連邦側の人間は簡単に嵌め込まれたり裏をかき易い、お人よし種族だと舐めて掛かっている傾向もあるが、比較的最近まで貨幣経済をもっていたということで、歴史面で幾分親近感を抱いている節が見られる。一方で24世紀時点での惑星連邦側の人間は、過去の手痛い教訓からフェレンギ人を詐欺師か泥棒のように思っているようで、少なくとも強盗殺人のような非道を仕出かさないため余り強硬な態度はとらないものの、フェレンギ人がいるときは常に倉庫の在庫を調べる程度の警戒が見られる。しかしフェレンギの規定では遭難船は救助船の船長の所有物となるため、攻撃して無理矢理遭難させる場合も見られる。
彼らの文明的な繁栄を見る限りは知能水準もかなり高いレベルに位置するようだ。しかし儲けを全てに優先させる姿勢はしばしば欲に駆られて後先考えないで事を進めてしまう傾向もあり、一見金儲けが出来そうなネタに飛びついて大災害や多大な迷惑を引き起こすことも、そう珍しいことではない(『DS9』のレギュラー、クワークが典型例)。
彼らの社会は無益な(=金にならない)争いを嫌うため、特定の国家などと対立していたり戦争状態になっていることも無い。ボーグやドミニオンは例外であるが、それは彼らボーグやドミニオンがフェレンギ人にとっては商売相手にはならないどころか財産を強奪もしくは破壊しようとする相手だからということに過ぎない。少なくとも商取引が成立する相手であれば、フェレンギはどの種族にとっても「正直ではないが、金さえ出せばどんなものでも調達してくる」商人である。過去の遺恨は相手が利益を与えてくれるなら大抵は綺麗さっぱり忘れてしまう。しかし例外的に復讐心に燃えるフェレンギ人がいないでもないが、儲けの無い復讐は彼らの世界では恐ろしく不利益なこととして忌避され、半ば正式な犯罪扱いされている。
拍手は手のひらと手の甲を合わせて行う。耳への愛撫(ウーマックス)を好み、彼らにとっては耳掻きは性的な行為に等しく、意中の相手に耳掻きをおねだりするなどといった行動も見られる。
どうやらアメリカ人から見た日本人、ユダヤ人、中国人のメタファーという説が有力である(フェレンギ人が登場した1980年代末期は、日米貿易摩擦の最中であった)。元々は『TOS』におけるクリンゴン人のようなライバル役として設定されたが、その目論見は失敗に終わっている。
ラチナム
ラチナム (latinum) は、フェレンギ人が通貨として用いている物質(液体金属)。特殊な分子構造をもち、レプリケーターなどで人工的に複製できない。
通常は液体の状態だが、より価値が低い純金の粉末と混ぜることで、延べ棒(バー)・板状(ストリップ)・貨幣(コイン)の形状に加工され、可搬性と貨幣効果を持たせている。延べ棒1本が板20枚、板1枚が貨幣100枚と等価。なお、純粋な液状ラチナムはグラス1杯で延べ棒約100本分になる。
金属としての金の価値もそれなりに認めており、惑星連邦の士官が付けているコミュニケーターに金が使われていることを「もったいない」と指摘する場面もあった。
金儲けの秘訣
『金儲けの秘訣』(Rules of Acquisition) は、すべてのフェレンギ人が金科玉条として尊ぶ書物。その教えを要約すれば「人生で最も重要なことは金儲けだ、そのためなら手段は選ぶな」といったものである。
初代グランド・ネーガスのギントによって編纂されて以来、歴代のグランド・ネーガスによって表現の変更や新しい条文の追加が行われ(もちろん、その度に改訂版が売り出される)、『ENT』時代には全173条、『DS9』時代には全285条となっている。本編にはその一部しか登場しないが、小説版や漫画版ではすべての条文が設定されている模様。また、クワークが第286条、『VOY』のニーリックスが第299条をそれぞれ勝手に創作している。
グランド・ネーガスのゼクがワームホールに住む預言者によって利他的な性格にされてしまい、すべての条文を正反対の内容に書き換えた『新・金儲けの秘訣』を出版しようとしたこともある。
文化
フェレンギ社会では女性は仕事に就くことも衣服をまとうことも許されておらず、結婚も商取引で行われる完全な男尊女卑の世界である。女性が服を着ることは彼らの社会では「とんでもなく変態的なこと」であり、男性に「服を脱がしたい」という欲望を起こさせないための措置である。だが母親をからかうことは『金儲けの秘訣』で禁じられている。クワークの母親はフェレンギ人女性にして類稀な商才に富み服も着るが、これがクワークにとっては悩みの種となっている。フェレンギの男は異星人の女性に惹かれることも多く、エンタープライズDに現れると決まって女性クルーに付きまとっている。
地虫やカタツムリを好んで食べ、またスラッグ・オ・コーラ(コカ・コーラのパロディ。キャッチフレーズは「ドロッとさわやか」)やイールワッサーといったドリンクを飲むが、地球人と同じ食べ物や酒類を口にすることもある。なお男のために硬い食べ物を噛んで柔らかくしてやるのも女の役目だとされている。
基本的には金儲けが一番の楽しみであるが、株取引を模したトンゴというカードゲームも好まれる。またクワークは自分の店のホロスイートで遊ぶことがある。
死んだフェレンギ人の体は粉末状に加工され、先物取引にかけられる(生前に大儲けした者ほど高く売れる)。フェレンギ人は神を信じないが来世は信じており、生前に大儲けした者は死後「聖なる宝物殿」という(いわゆる)天国に迎えられるが、逆にまったく儲けることが出来なかった者は「永遠なる貧困の世界」に落とされると考えている。また「聖なる宝物殿」には初代グランド・ネーガスのギントが住み、死者達が次の命を買うための競売所を経営しているとされている。
フェレンギ人は耳を情報収集能力の象徴として神聖視しており、『金儲けの秘訣』でも耳に関する記述が多く見られる。フェレンギ社会では大きい耳は男性の象徴でもあり、美容整形で耳を大きくすることも行われる。
税金は自由な商売を阻害するという理由で存在せず、その為社会保障の類も存在しなかったが、ドミニオン戦争末期に当時のグランド・ネーガスゼク(とイシュカ)が打ち出した政策によってフェレンギ社会は大きな転機を迎え、女性の地位向上、納税と手厚い社会保障、評議会設立によるネーガスの権限の縮小など、金銭的利益優先主義社会からの脱却に向かって歩み出すこととなる。
歴史
年代は地球の西暦を基準とする。
(24世紀から)約1万年前、初代グランド・ネーガスのギントらによって金儲けの秘訣が編纂される。
異星人からワープドライブ技術を購入する。
2151年、フェレンギの海賊が地球船エンタープライズ (NX-01) を襲撃。但し、地球人にはその正体を知られなかった。
2355年、フェレンギ船とジャン=リュック・ピカード指揮のU.S.S.スターゲイザーが交戦。但し、惑星連邦側にはその船籍を知られなかった(マクシアの戦い)。
2364年、デルファイ・アーデュー星系で惑星連邦と正式にファーストコンタクト。
2370年、ガンマ宇宙域のドミニオンとファーストコンタクト。アルファ宇宙域の勢力としては初。
代表的なフェレンギ人
グランド・ネーガス - ゼク フェレンギ社会で初めて女性が商売を行なう事を認めた。(24世紀後半)
クワーク - ディープ・スペース・ナインにあるバーの経営者。
ロム - クワークの弟。さほど金儲けには執着していない(但し否定はしていない)雇用主でもあるクワークに対し、フェレンギ社会では前代未門である労働組合を結成し対抗した。ゼクにより次期グランド・ネーガスに指名される。
ノーグ - ロムの息子。フェレンギ人初の宇宙艦隊士官。
イシュカ - クワークらの母。ゼクの恋人でもあり、老齢により判断力の鈍ったゼクを影から支える。「進歩的」な女性。
ブラント - フェレンギ会計監査局 (FCA) のエージェント。
ボーク - デイモン(富豪階級)。しかし、フェレンギ人の慣習に反し、マクシアの戦いで連邦艦スターゲイザーを襲った息子を返り討ちにした艦長、すなわちピカードを損得抜きで付け狙う『代表的』ではないフェレンギ人(ボークが登場したTNGにおいては、上記フェレンギ人の諸設定はまだ明確には存在していなかった)。